パン屋に行くと必ず渡される“トング”。
あれ、よく考えると 完全にSの武器 なんじゃないかと思う。

だって、パンを選ぶあの一連の動作。
どれを取るか、どのタイミングで掴むか、
潰さないようにするのか、あえて強めに挟むのか。

全部、自分の手に主導権が宿る瞬間なんだよ。

まず、トングって無駄に音が鳴る。
「カチ、カチッ」
あの金属音、妙に存在感ある。

あれはまるで、鞭を軽く鳴らす時の“予告音”。
パンを取る前に、場の空気を支配する音だ。

パンをつまむ時もそう。
優しく掴む人は、完全に“ソフトS”。

逆にガチッと勢いよくつまむ人は、
パン屋に来てるのに、心はもう縄の現場にいる。
支配リズムが手癖に出てしまっているタイプだ。

パン屋で性格が出るって言うけど、
本質は性格というより 性質（SかMか） の話だと思う。

面白いのは、
トングを扱い慣れてない人がやる“あたふた挟み”。
パンを落としそうになって、
「え、ちょ、待って…」と焦る姿。

あれは完全に M気質の証拠 だ。

パンになかなか触れられない、
落としちゃいけない、と緊張しながら扱う姿は、
まさに“主導権を奪われる側の反応”。

逆に慣れてる人は、迷いがない。
パンのある場所、向き、距離、重みを瞬時に判断し、
最短距離で掴みにいく。
あの一撃の速さは、完全にS。

しかも、同じ人でも
疲れてる日はMのつまみ方になったり、
テンション高い日はSつまみになったりする。

ここがまた良いところで、
パン屋って実は、その日の自分の“気質”がよく見える場所なんだよ。

パンを選ぶだけなのに、
自分の中の支配欲や優しさ、緊張や解放が全部出てしまう。

トングって、
ただの道具じゃない。

気づかないうちに心のどこかを刺激して、
「今日はどっちの自分でいく？」
って問いかけてくる、静かだけど深いアイテムなんだよね。

たぶん太郎は、
パンを取る時ですらついSの顔になるタイプだけど、
あなたはどっちですか？

パン屋のトングだけで、
人間っておもしろいほど丸裸になるんですよ。