【店長コラム】創戯旅団 第201夜 エピローグ／ピンサロ物語
※2025年09月17日19時33分

書き始めの段階の構想では、この一連のピンサロ物語は3回くらいに凝縮して語るつもりだったんですよ。それが、書いている内に楽しくなってしまい19回も連載が続く物語になってしまったのです。そんなに話す内容あったんだと私も驚いていますよ。もう25年も前の話しなのに、意外にもこんなにも細かく何が起こっていたかは覚えているもんですね。まあ若い内に楽しみながら風俗の仕事をした記憶は、思った以上に自分の身体の中に基本として染み渡っているもんだなと思い返していて再認識させられましたよ。あの時のピンサロの仕事が無かったら、今これだけ大車輪で働いているのが苦痛にしか思えなかった可能性はありますよね。思えば、私は最初から狂気の片鱗を見せていた事になります。あの仕事に対するストイックさは20代の時に芽生えていた仕事への向き合い方だったんだなと思います。周りの皆んなに物足りなさを感じていたところなんか40代もまんま同じ感覚に陥ってます。こんな輩ばかりが底溜まってしまうなら、一度お店をぶっ壊して再構築した方が遥かにマシだと思えるお店の腐り切った内情なんかは、既に20代で経験していたんだなと再認識しましたよ。そして思っていた10倍は、あの大喧嘩の頃に師匠と私を取り巻く環境は酷かったんだと思います。冷静に見ると周りにろくでもない思惑で近づいてくる人間は思いの外に多いんですよ。そして、師匠と私の最大の欠点は、人間に対して基本無防備なんですよ。世の中、そこまで悪い人は居ないだろうみたいなスタンスで仕事をしてしまうんですよね。上手く作用する時には綺麗に人間関係がハマっていけいけな環境になります。しかし、働いている人間のベクトルが各々に向いている方向が違うと、途端に上手く回らない時期が多くなる欠点はあったんだと思います。それは見事に、私が長所も短所もひっくるめて師匠を継いでるなと苦笑いします。私も基本的には全員を信用して好きにやらせてしまう欠点があるのです。そのやり方は師匠譲りでした。周囲の人間との相性が良くないのに、師匠と私の相性が、実は抜群に良かったのです。私はそこに気付くのに、頭が悪いので30年かかってるのかも知れませんね。分析は好きで良くする癖に、自分の事は冷静に見れない熱血漢だったかと苦笑いします。あゝ、お人好しか馬鹿か、人の思惑に振り回される人だよなと分かります。師匠は致命的な失敗をしては、やはり後で気づいてはいたんでしょうね。だからかと閃かされますよ。師匠と私が仲直り出来たのには理由があったんですね。間違いなく師匠が先に気付いていた事になります。あゝ、やはり長い事私の上司をやって来た人だなと思います。私とぶつかっても、最終的には尻を持って来た人なのです。人間関係なんて、実はそんなもんだったかと気付かされますね。ならば私がエレガンスを発展型まで持っていき、長く引き継ぐ事になったのは師匠の功績です。正確な表現に直すと、私がエレガンスの防人になってるのは師匠の功罪であり、私の功罪でもありますね。結局は、難しい要因は無いのであって、何も考えてない能天気な男同士のタッグが、上手く噛み合っただけの話しです。実は、人間関係なんてそれで理想じゃないですかね。単純に考えると師匠と私の間には裏表が無かったんですよ。先にそれに気付いてたのは間違い無く師匠でした。エレガンスでも、実は女王様にお店を掻き乱された事は複数回あるのです。その内の2回で、最終的に師匠は女王様では無く私の考えを優先していました。多分、それはこのUSA対スキャンダルの勝負に発展し私達が袂を分かってしまった反省があっての利口な判断だったのです。ならば、師匠はあの大喧嘩をしっかり反省していた証拠になります。また、後日にきっちり答え合わせをしますが、私と女王様のガチの歪み合いは、今に始まった事ではありません。第一期の頃から常に、私はおかしな動きをしている女王様とは悉くぶつかっていたのです。そして、最終的に師匠が私を支持する事になった私と女王様の揉め事の2回目は、私がエレガンスを引き継ぐ事態にまで発展してしまいます。師匠はそれで良かったんでしょうね。そこで下手を打つと、私がまた辞める事は分かっていたんだと思います。そうなるくらいなら、私にエレガンスをやらせてしまえば、私が辞める事は金輪際無い事まで考えて動いていたのです。今だから、なるほどねと合点が行く師匠の決断だったと思います。そして、弟子としてありがたい気持ちにもなります。私は師匠には、感謝しかありませんよ。が！何か違うなとも弟子だから分かります。きっちり話し合いをして女王様を処分して、2人でまだ店をやれば良かったじゃんよ！この意地っ張り！と思ってしまうからです。私はそれを師匠にも思いますし、自分に対してもバカちんが！と思うのです。私も意地っ張りですから、エレガンスをやらせて頂きます！とか言っちゃってる訳ですよ。違いますよね。ここは2人して意地張らないで、仲直りするのが正解だったんだと思います。同時に２人とも同じ性格をしていますので、引っ込みつかない気持ちまで分かってしまうんですよ。やれやれです。相変わらず2人して何やらかしてんだかって話しです。どうせ2人とも、この仕事を天職だと思ってる程に思い入れが強いのです。お互いに、まだタッグを組んでお店をやりたかったに決まってるじゃないですか。私は、その気持ちを汲んで、聡明な選択を出来ていない私自身を恨みますね。全く持って馬鹿過ぎます。こんな事をぼんやり考えていると、エレガンスを第二期末期に投げ出さなくて良かったと安堵します。人の思いを粗末に扱って汚名を着るのはごめん被りたいからです。何で、こんな話しをこのタイミングで熱弁しているか？これには大きな意味があります。私は今回は師匠の思いをきっちりと守り抜いています。どうやら、私に課せられた使命は、いつの間にか少し増えているんです。それをきっちり具現化しないと、私はただの嘘吐きクソ野郎になってしまいます。風俗人として、それだけはどうしても嫌なのです。死に物狂いで頭をフル回転させてお店の維持と発展の為に頑張りたいと思っています。

今回はエピローグとしてピンサロ物語の後日譚を語る回です。USAとスキャンダルのその後も簡単に語りましょう。まあ、私はお店を辞めていますから、また聞きの話しになります。しかし、また聞きと言っても、3階のヘルスには悪友S君が店長として働いていました。私は一部始終、USAとスキャンダルに起こった事の顛末は聞いています。USAは迷走していましたね。なかなかキャストさんに恵まれる事は無く、男のスタッフとも決してウマは合わなかったのでしょう。もし師匠とウマが合うスタッフが入店していたら、エレガンスにも私の入り込む余地は無かったでしょう。私がエレガンスに加入する事は無かったと思います。まず、私が辞めてから、USAで次に育てようとしていた男は残念ながらポンコツでした。私の部下でもありましたが口だけ君です。私が辞めてから3階の幹部を襲撃しようとしたりと、やりたい放題だったらしいですよ。売上を上げるセンスは無く、そんなバイオレンスな問題を起こそうとしているのですからポンコツ確定です。それ以前に私の友達作戦の真の意味が分からない様じゃ、風俗人としてのセンスが壊滅的にありません。まあ無理なもんは無理なのです。その次に師匠が育てようとした男もモノになる前に潰れたと聞いています。同じビルにヘルスがある以上、何の営業スキルも無い人間じゃあ、ヘルスにボコられて終わります。そうなるとポンコツさが捲れて逃げ出すだけですよ。そして、さらに次に店長として仕込もうとした人間は問題のある人間でした。売上を頻繁にちょろまかそうとしては、師匠に見破られていたそうです。その内にクビになったらしいです。しかし、問題はその後です。事務所の金庫に入っていたお金が盗まれたりしていたのです。ここら辺の話しは、また後日に別ネタにしましょう。とんでもないクソ野郎みたいでしたからね。金庫から金が盗まれる事は、普通ならあり得ません。何の為の金庫だよってなりますからね。金庫の置き場所と暗証番号を知っていて入り口の合鍵を持っていた人間が犯人なのです。ほぼこの人が犯人確定だったらしいですね。さらに、その直後にUSAは放火されて内装が灰と化してしまうのです。その前には構造変更がバレて営業停止を喰らったりと散々だったらしいですね。結局は改装するのもお金がかかるので、継続するのもバカらしいとUSAを閉める事になったらしいですよ。USAの最後の店長はスライドで箱ヘルの店員さんになったらしいですが、幹部に育つ事はありませんでした。こうして私が辞めてから4年も経たずにUSAは潰れたのです。私が居なくなってから師匠は散々な思いしかしてなかったですね。エレガンスに入ってから、誰か私の売上を越えた店長はいましたか？と師匠に聞いた事があります。誰もお店をバズらせる事は出来なかったと師匠からは聞いています。次にスキャンダルも私の下のスタッフはポンコツ君でした。すぐに風紀の問題を起こして涙目でお店を辞めて行ったとしか伝え聞いていません。なんとも情けない辞め方です。女目当てでお店に近づいた邪な人間だったのです。そりゃ、お店が速攻でボロボロになる訳です。しかしそれでもスキャンダルは生き延びては居たんです。売上的には無難だった筈です。しかしお店が無くなったのはUSAより早かったですね。スキャンダルが継続出来なかった理由は、大家さんが風俗店を追い出したかったからだそうです。今でもキャバクラばかり入っているビルとして残っています。スキャンダルと歌麻呂（名前はUTAMAROだったかも知れません）は閉店して、別のビルで新しい名前で再オープンしました。そちらのビルでも紆余曲折はあったそうですが、1店舗は人気店として現存しています。私はピンチヒッターか投手のワンポイントリレーの役割をスキャンダルで果たしていただけでしょう。ブルーレディ→スキャンダル→クライマックスの歴史の中ではほんの些細な一瞬の場繋ぎ仕事だったのです。打者1人分の価値しか無いと思います。それが私の小さな実績でしょう。しかしUSAとスキャンダル。どちらのお店も、私が売上の最高記録を持ったまま、その記録は永久に抜かれる事は無かったのです。どちらかというと情けない話しですよね。大の大人が雁首揃えてどんな仕事をしていたんだよと説教しないといけませんね。皆んなして何が見えて無いのか？簡単な事です。まず、自分は仕事が出来ると思い混んで仕事をしてるから、いつまでも進歩しないのですよ。もっと謙虚になるべきですよね。自分の欠点を見つけて、地道にブラッシュアップしなければ成長とは言えません。皆んな、過信してるだけなんです。だから口だけはご立派なんですよ。しかも、そんな事は無い！本当に俺は仕事出来たんだよ！と今でも弁解するでしょう。私は師匠から、全て本当の事を聞いてますから、それが嘘である事を知っているのです。私を含めて全員がポンコツだったと視点をシビアに変えて、これからは謙虚に学習して行きましょう。女王様が一番苦手とする学習スキルでもあります。視点を変えて見ましょう。全員がポンコツならば、自分だけは絶対に失敗しないように頑張ってみよう！と思えば良いだけなんです。意外にも簡単な学習スキルなんです。そんな簡単な事を誰も出来ないから、女王様はポンコツなんですけれどね。まあ、私が言ってるのは、風俗の理です。 【つづく】

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