【店長コラム】創戯旅団 第146夜 強盗が来店しやがった
※2025年06月30日22時11分

嘘？マジで？って聞きたくなる出来事ですよね。安心して下さい。強盗が入ったのはエレガンスではありません。ん？こんな気になる衝撃的なタイトルなのですから、前置き無しで本編に入った方が良さそうですね。それでは早速、本編をスタートしましょう。

それは、とある平日の夜11時くらいの事でした。どこからとなくパトカーのサイレンの音が聞こえて来ます。それも複数台走っている感じのただ事ではなさそうな騒がしい何台もパトカーが走っていると思われる音でした。なんか物騒な世の中になって来たなあ！なんて思いながら、私も呑気に仕事をしていました。すると、どんどんとパトカーの音がエレガンスの事務所に近づいて来ます。おお～？何事よ？なんて、少しだけ野次馬根性が出て来てしまい、カーテンを開けて見てみると。ん？ええ～？ウチに向かってパトカー来てるんじゃ無いの？え？え？何が起きてんのよ？なんて事になってしまってるじゃないですか。しかも、最初の1台なんかは助手席のドア開けたまま走って来て急ブレーキで止まって、1階のギャルズスタイルの中に刑事さんが走って入って行きましたけれど。お店の外でギャルズスタイルの女店長さんが半狂乱になりながら大声で『早く、犯人捕まえてよ！』とか外に居た刑事さんに怒鳴ってます。これは只事では無いと階段に出てみると白い煙がこちらにまで上がってきています。火事だ！放火なのか？と私は思い2階のウチの待機に居た女の子に、『火事だ！すぐ逃げるぞ！』と言って皆んなで1階の裏口へと逃げ降りました。ウチの階段は裏口側にあるのですが、当時のギャルズスタイルの面々も裏口側に避難して来ていました。私が『どうした？何があった？』と聞いて見ますと。若い女の子が『強盗が入ったの！私、お金盗られたの！』と言ってます。火事ではありませんでしたね。当然ですよね。マッハで飛んできているのは何台ものパトカーであり、消防車ではありませんでしたから。煙の様に見えたのは犯人が店内に消火器を撒き散らかした余波だったのです。とんでも無く大事ですね。1階のお店は売上金を盗られ、キャストさんも財布を盗られているのでナーバスになっています。被害も無く無事な私達は、あまり1階の人達を刺激しない様に静かに事務所へと引っ込みました。いやしかし、パトカーが10台以上来ている中で、事務所にただ大人しく居るにしてもそわそわとしますよ。そわそわだと的確な表現ではありませんね。胸騒ぎがした状態のまま放置されてますから妙な感覚になります。その日は当時のNo.1だったRさんも自宅待機していたので、今下のギャルズスタイルに強盗が入ってやばかったんだよ！なんてメールしたりしていましたね。したらば、Rさんまでわざわざ車に乗って事務所に来てしまい、私が無駄に野次馬を増やしてしまいました。そこからが長かったのですよ。現場検証は4時間か5時間はかかったかと思います。お店の裏口から犯人が逃げた様なので、裏口側は黄色のテープを貼られて封鎖されてしまいました。どうやら足跡を取るのに型取りを念入りにしています。ん？ちょっと待った！エレガンスで仕事に出動する時はどうしたら良いのでしょうか？現場検証をしているお巡りさんさんに、『それだとウチが仕事にならないから困ります。』と相談したら、私達の靴跡を証拠として残して置く事を条件に出入りが許されました。営業を停止する事態にはならなくて良かったですよ。実際、深夜も出動はありましたからね。そんなこんなで夜中から朝方にかけて騒がしい日になりました。途中で仲間のお店からも心配して電話が入ったりしましたね。情報回るのが、やたらと早いでくね。どうやらそのお店の若い衆がキャストさんの送りでギャルズスタイルの前を通りかかった時にお店が燃えていると勘違いをした様なのです。そして、それを自分とこの社長に報告したので、私に確認の電話が入ったのです。『燃えてないよ！ギャルズスタイルに強盗が入って、金を盗まれたらしい！』と教えたのを覚えています。これには後日談が2つありました。一つは、今度は私がウチのキャストさんを秦野に朝の4時に送りに出る時の事でした。そちらのお店は近くのビルの5階にあるのですが、そこの3階のステーキ屋さんが本当に燃えていました。あかん！これ本物の火事や！とそこの社長さんに直ぐに電話をしたのです。そしたら朝方なので当然電話には出ませんでした。次の朝の11時くらいにようやく呑気に、どうしました？と連絡が来ていましたね。朝方にそっちのビルの3階が燃えてたよ！と教えてあげると、嘘！ウチのメンバー誰も火事が起きた事にも気づいてないと思うよ！とか言っちゃってましたね。平和じゃないけど実に平和な話しです。しかも火事場話し返し見たいな展開になってましたよ。さらにもう一つ。こちらの方が大事なネタになりましたね。後日、ウチにも刑事さんが聞き込みに来ました。私は思った事を話したのですが、『手際の良さから内部に精通する人間の恐れもありますよね！裏口から逃げているのもおかしいと思いますよ！普通何も知らない人間であれば表玄関から逃げませんか？』なんて見立てを私は話しました。まさか、その私の見立てが現実のものになろうとは、私自身も思っていませんでしたよ。警察の聞き込みに思った事を正直に答えただけでしたからね。どうやら、その後のあらすじですが、警察は過去に遡り、ギャルズスタイルで働いていた従業員を徹底的に調べたらしいのです。そこで私の知り合いのお店にも接点が繋がって行きます。ギャルズスタイルで最後に店長をやっていたのは私です。こう見えて私も6年半もギャルズスタイルを営業していましたからね。その前の夫婦がやっていた期間よりも長くお店を営業していた計算になります。強盗が入ったのは確か夫婦がギャルズスタイルを始めてから1年くらい経った頃だったと思います。さらに夫婦がお店をやる前に店長をやっていた人の事も私は知っています。その方とは親しく話しをする間柄でした。この元店長さんが、丁度強盗が入った時期は件の知り合いのお店で働いていていたのです。そして、警察はその元店長さんにも聞き込みに行ったらしいのです。しばらくしてから犯人が捕まったと私は聞く事になります。どうやら犯人はその以前の店長がギャルズスタイルをやっていた頃に在籍していたキャストさんとその彼氏だったらしいのです。犯行に及ぶ数日前に、彼氏が客として下見に来ていたらしいですよ。用意周到なのか、何も考えていないのか、少し不思議な犯行ですよね。何故、そんな簡単に捕まってしまいそうな犯罪を犯したのでしょう。余程、お金に困っていたのかと思いきや、犯行に及んでしまう数日前に十何万で犬を買っていたらしいですよ。ちょっと待った！と言う事はですよ、犬を飼うのを我慢していればこの犯行は起きなかった事になります。馬鹿なんですかと思いませんか？何も考えていない行動に呆れ果てます。しかし、SMクラブで働いていると良く分かりますよ。胡散臭い人間はどこまで行っても胡散臭いのです。犯罪予備軍なんて派遣型風俗店には相当数居ます。想像以上に恐ろしい世界なんですよ。だからこそ、真面目さや誠実さの必要性を感じているのです。怪しいお店に自ら向かってしまっていたら目も当てられません。流石に本末転倒です。そう肝に銘じて真面目営業をひたすらに貫いているんです。この事件は、私が思っている以上に世間は狭いんだなと感じさせられる結末になりました。

しかし、問題はそこでは無かったのかも知れません。ギャルズスタイルに強盗が入る数週間前の話しになります。確か深夜0時過ぎだったかの話しです。師匠がキャストさんを送ってから帰ると言って事務所を出てからも、私は自宅待機のキャストさんが居たのでまだ仕事をしていた時の話しです。事務所のトイレに入っていたら、誰かが事務所の中に入って来た音がしました。師匠が戻ってくるにしては大分時間が経ってるので不自然だなと感じました。どなたですか？とトイレの中から声を掛けても良かったのですが、それも格好悪いと思い息を潜めていました。師匠じゃなければ、誰かキャストさんが顔を出しに来た可能性もあります。流石にトイレから大声を出すのも憚れたのです。少し息を潜めていると部屋を出ていく音が聞こえました。私はそっとトイレを出て階段を覗いて見ますと、もう誰も居ません。少し気になった私は、大急ぎで下へ降りて行き裏口の外を覗くと、丁度裏の砂利道から一方通行の側道へと曲がって行く男女の姿が見えたのです。不自然だなと思いましたよね。師匠とキャストさんが事務所に戻って来たならば、話し声が聞こえるのが普通だと思うのです。ギャルズスタイルの夫婦が2人して3階に上がって来る事もまず無いでしょう。翌日、私は一応師匠に、昨日は戻って来たりしましたか？と確認して見ました。しかし、戻ってないよ！と師匠は言ってましたね。その後も誰かが訪れたと判明する事はありませんでした。少し薄気味悪い話しだったのです。そこからの強盗騒ぎなだけに複雑な心境になるのです。最悪のケースでは、私が襲われていても不思議では無いシチュエーションだったからです。たまたま声を顰めた事、たまたま相手が家探しを始めなかった事等が重なり、私は九死に一生を得ていたなんて展開も考えられるのです。少し身震いをしてしまう出来事でしたよね。他にも、私は寝ている時に泥棒に入られ、しかも泥棒と遭遇している事に気付かないなんて事もあったのです。私はつくづく悪運だけは異常に強いのでしょうかね。第二期終盤のポンコツ女王様大襲来の期間も、糖尿病を悪化させて瀕死の重傷を負っているものの、こうやって奇跡の店舗継続に結びついています。実際には死んでいてもおかしく無かったのです。ここまで偶然が重なると、エレガンスはお前がやれ！と神様に言われてるのか？と勝手に都合良く解釈してしまうってもんです。

それにしても矢継ぎ早に、ありとあらゆるとんでもない事件に巻き込まれるお店ですよね。まあ、どんな仕事をしていても細かな問題なんてのは日々起きてると思います。風俗店なんてキャストさんを心配させない為に、お店側が飄々とすっとぼけてやり過ごしているだけで、どのお店も実情なんてウチと大して変わらないかも知れませんよ。ウチだって、ひょっとしたら秘密主義を徹底する手法を他のお店同様に取る方が利口だったかも知れません。ん？いや、決して利口ではありませんね。今まで徹底して秘密主義を貫いて失敗して来ているのです。そこを踏まえてのお店の可視化営業なんですよ。私だけでは無く皆さんで、このお店を心配しながら回していけば、変な輩に入り込まれる事も無ければ、変な輩を育ててしまう心配も無いじゃないですか。要は私はいままでの失敗はそんな失敗だったと思っているんです。簡単な事です。全部、自分で抱えてしまうから盲目になるし裏目を引くんでしょうね。第三期も失敗してしまう事は当然あるでしょう。ベストを尽くした中での失敗であれば、次に繋がる動きは出来ていると思えます。全てを可視化した中での誠実な営業が大事なのかなと私は捉えています。今、難しく答えて見ました。行動に意義を込めるとは実に奥深い事だと思うのです。失敗から学べる事もあったのですから、次も同じ失敗を起こしてしまわない様に気を付けて行動しますね。

次回の創戯旅団は少し難しいテーマを語ります。営業して行く上でABCテストが如何に重要かを語る回になります。何か行動を起こす際には、周囲の人間が何をどう考えているか探りながら、慎重な判断を求められる事も多々あります。そんな時に使える秘策の話しになります。

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