2023-10-09 14:2410月7日
Mさん
ベッドは鏡に取り囲まれていた。
どこに目をやっても自身のあらゆる痴態が視界に飛び込んで来る。
羞恥も身体も逃げ場を失い、やがては鏡面の己に四方から煽られる事となり、終始貴方は慚愧に堪えないといった表情で悦びに悶え続けなければなくなった。
自らを貶め、どこまでも付き纏う蔑みと快楽を貪りながら、貴方はますます性の輝きを増してゆく。
眩しさに目を細めるよりも早く、菊の瞼が私のリビドーを力強く締め付けた。
いつもお土産ありがとう。
Tさん
欲深さのあまり、柔軟さを失念した。
そのような暴走はわざとでもない限り起こり得ないのだが、ある種の特殊性癖を前にすると、喩えようもない私の確乎たる孤独な世界が広がり、たちまち目の前の魅力に理性を疎遠にするのだ。
理性と連帯感を切り離された精神がどう作用したのか、朧げな記憶だけに謎だが、貴方の性癖を増やしたことには変わりはないらしい。
芽吹の欲がひとつだけに収まらなかった事は、貴方もさすがに困り果てていた。