2025-05-18 08:45イギリスのメシマズについて調べてみったー

週に1冊はKindle unlimitedの本を読了するようにしている玉依です
光文社古典翻訳文庫のunlimitedが終了して、歴史本の質がすごーく悪くなりました……
ほんと……酷い。
さて、今週なんとなーく読んだのは『新しいカレーの歴史 上:日本渡来以前の諸国のカレー』(近代食文化研究会)
カレーが私たちの食卓に届けられるようになったのは明治時代。イギリスによって伝えられたとされています。
イギリスでは18世紀にインドから現地のイギリス人が開発したカレーパウダーが伝えられました。
日本では「カレーパウダーを世界で初めて作ったのはC&B」と紹介されているみたいですが、実は誤謬である…
というところから本書は始まります。
【目次】
明治時代の日本人はカレーを絶賛した
「カレーパウダー」を作ったのはインドに住んだイギリス人
自炊できないイギリス人
インドの生活は辛いよ
明治時代の日本人はカレーを絶賛した
イギリスといえば飯まず!
メシマズといえば、星を仰ぐパイ。すなわち、キドニーパイ
イギリス人自身が自虐で「イギリスはメシマズ」と言うほどの、メシマズ国家です。
実際に玉依の先輩も、イギリスに長期留学し、拒食症になって帰ってきました。
それほどまでにご飯がまずい!
※近年は移民レストランが増えたことで、飯うまになりつつあります。
けれども、「伝統的に」ご飯が美味しいとされた我が国・日本は、かつてイギリスの飯を「世界一美味い…!」と言った時代がありました。
そう。そのレシピはカレー。
明治時代に初めてカレーを食べた日本人は、イギリスのカレーに感動していたのです。
MC:うっっっっっそーー〜?!?!?!?!?
:イギリスのご飯が、美味しい、、、、、だと、、、、!
そこで矛盾が生じます。
伝統的にメシマズ大国なイギリスにご飯が美味しい時代があった。
一般的にイギリスのメシマズ文化は、産業革命によるものと考えられています。
産業革命によって工業化し、長時間低賃金労働に苦しめられる時代が到来しました。
ご飯を作る余力も無くなったイギリスは、簡単に買って、シンプルに味付けした料理を買うようになった。
すなわちフィッシュ&チップスです。
そしてイギリス人は料理をしなくなった…とかなんとか。
:いや。でもさ。明治時代の日本はすでに産業革命してるじゃん。
その通り。革命しちゃった後。
この説は矛盾を孕んでいる。
中には、イギリスにおけるキリスト教信仰が厳格だったからとか、フランスのように宮廷料理が発達しなかったり、そこの料理人がレストランという形で大衆化したりしなかったなどとも考えられています。
おかしい。
宗教的な問題は尤もらしいですが、カレーは「世界一美味い」らしい。
フランスのように宮廷料理が発達しなかったり、レストランとして大衆化しなかったりも尤もらしい。
けれどもアフタヌーンティーの発達や、そもそもこれだけ食品加工技術が発達しているのに未だにメシマズなのはおかしい。
ということで、この矛盾を調べるべく玉ちゃんは、アマゾンへ飛び込んだッ!
「カレーパウダー」を作ったのはインドに住んだイギリス人
1700年代。グレート・ブリテン・北アイルランド王国が植民地支配している時代。
一部のイギリス人は愛と冒険を求めてインドへ移り住みました。
インドへ出稼ぎに出たイギリス人たちの間で流行った料理があります。
それがカレー。
彼らは自家製カレーパウダーをせっせと作り、我が家の味を自慢し合いました。
そして帰国する際にこれを持ち帰り、徐々にイギリス人の間で広まりました。
そんなカレーパウダーに着目したのがC&B社。
カレーパウダーの調合は非常に難しく、気軽に家庭で使える代物ではありませんでした。
それを家庭でも使えるように製品化し、19世紀の初めには広く流通する大ヒット商品だったようです。
C&Bのカレーパウダーは着実にイギリスの食生活に定着し、その後ヴィクトリア女王に献上されるような上流階級の食べ物にもなりました。